Lesson7-3 工程のポイント③

発酵

発酵とは、酵母がパン生地の中で糖をエサとし、ガスを発生させて膨らむことを言います。

発酵の工程では、温度によって酵母の活動が大きく左右されるため、管理が非常に重要です。
酵母の活動が最も活発になるといわれている温度は28~35℃、湿度は70~80%です。

発酵させることで、パンに独特の風味が生まれます。
この風味を生かすような場合もありますが、あまり長く発酵させすぎると風味が複雑化し、アルコール臭も強くなりますので注意しましょう。

オーブンレンジに発酵機能が付いたものもありますので、利用すると正確で良いでしょう。

乾燥に注意

生地が発酵すると、ボウルの中で元の大きさの1.5倍ほどに膨らみます。
この時、生地が乾燥しないよう、しっとりとした状態を保つことが大切です。

ボウルの上にラップや濡れ布巾をかぶせるなどして、乾燥を防ぎましょう。

こねあげ温度を調整

パン生地をこねあげたときに、生地の中央までしっかりと温度計を差し、こねあげ温度を測ります。
適切なこねあげ温度は、作りたいパンによってさまざま。
材料の温度に左右される場合が多い為、しっかりと調整しながらこねる必要があります。
(特に水は量も多く、温度調節に大きく影響します。)

しかしそれでもこねあげ温度が大きくずれてしまうことがあります。
そのような場合には以下のような対策をしましょう。

こねあげ温度が高い時

温度が高いと、酵母の活動は活発になります。
発酵のスピードも速くなりますので、周囲の温度を下げて、レシピや通常よりも早めに様子を見ましょう。

こねあげ温度が低い時

温度が低いと、発酵の進みが悪くなります。
周囲の温度を少し上げて、レシピや通常よりも長く発酵時間をとるようにしましょう。

発酵完了の目安

おいしいパンを作るには、どこまで発酵させればよいのかを見極めることも大切です。

基本的に発酵の度合いは、「生地のふくらみ」と「フィンガーテスト」で行います。

生地のふくらみ

作るパンの種類によって生地のふくらみ方は異なりますが、始めの生地よりも明らかに大きくなるのが通常です。

例えば食パンだと、ボウルに入れておいた生地は3倍以上に膨らみます。
これはふわふわの食感を出すために、長い時間をかけて発酵を行うためです。

反対にベーグルだと、発酵時間も短く、生地はそんなに大きくはなりません。

フィンガーテスト

生地が十分に発酵しているかを確かめるのに役立つのが指を使ったフィンガーテストです。

生地の中央に人差し指を差して様子を見ます。
この時人差し指は第二関節くらいまで差し込みましょう。

発酵が十分なとき

人差し指の跡がくっきりと残ったままか、少しだけ穴がふさがる状態。

発酵が足りないとき

生地に弾力があり、人差し指の跡が戻ってきてしまいます。
発酵をさらに進め、5分おきくらいにこまめに様子をチェックしましょう。

発酵しすぎなとき

生地がしぼんで気泡が出てきてしまいます。
このとき指の穴は広がってしまいます。
こうなってしまうと元に戻すことが難しい為、次の工程に移るか最初からやり直すしかありません。
発酵しすぎないように、レシピに書かれた時間の少し前にはこまめにチェックするようにしましょう。