前述した地域を除く、ヨーロッパ諸国のパンをご紹介します。
ヨーロッパと一口に言っても、その面積は広く、気候や文化は各国で幅広く異なっています。
それぞれの地域で誕生した代表的なパンを見ていきましょう。
イギリスのパン
イギリスといえばアフタヌーンティーの文化があることで有名です。
アフタヌーンティーの時間にも、パンは欠かせない食事として愛されています。
イングリッシュマフィン

リーン形の丸い形が特徴のパン。
水をたくさん使用して仕上げるのが特徴です。
トーストして食べることを前提としているので、完全に焼ききらずに水分を残し、モチモチの食感に仕上げます。
表面にコーンミールの粒々がついているのも特徴で、香ばしい風味を演出してくれます。
卵やハムなどとの相性も良く、朝食にもぴったりです。
イギリスパン

山形のフォルムが特徴的な食パン。
日本のパン屋さんでもよく見かけます。
コロンブスが航海中にたくさんの人に分け与えられるようにと考えたのが始まりだといわれています。
他と比べて、イギリスパンは甘さ控えめであっさりとしています。
そのため、サンドイッチにするにも最適で、その起源はまさにイギリスであるとされています。
8枚切りくらいに薄くスライスしたものをカリカリにトーストしてバターを塗って食べるのがイギリスでは主流の食べ方です。
スコーン

イギリスのティータイムに欠かせないのがスコーン。
もとは貴族の間で流行したのが始まりだとされています。
外側はサクサク、中はふわっとしているのがスコーンの特徴で、食べる前にアルミホイルで包んでトーストするのがオススメの食べ方です。
酵母を使用せずに焼き上げるので、家庭でも簡単に作ることができます。
イギリスでは、クリームやジャムを塗って食べるのが主流となっています。
フィンランドのパン
気温が低く、寒冷なフィンランドでは、普段の食卓にこってりした食事とパンやゆでたジャガイモが良く並びます。
見た目がと特徴的なパンが多いのですが、味はシンプルで優しいのが特徴です。
酸味のきいたライ麦パンや全粒粉を使用したパンは噛めば噛むほどに旨みを感じることができます。
食物繊維やミネラルを多く含み、カロリーも控えめなので、ヘルシーなパンを食べたいときにはフィンランドのパンがオススメです。
ルイス・リンプ
ルイス・リンプとは「ライ麦パン」という意味を表しています。
寒冷で小麦が育ちにくいフィンランドでは、ライ麦パンがよく食されています。
ルイス・リンプはフィンランドに昔から伝わる田舎パンで、表面が滑らかばものやヒビの入ったものなど、見た目は地域によって様々です。
小麦粉で焼いたパンに比べ、クラムがぎゅっと詰まっていて、少量食べるだけでもお腹がいっぱいになります。
レバーペーストなどの料理とも相性が良い。
パパン・リンプ

VlasovaIana/Shutterstock.com
ライ麦粉を中心に小麦粉も混ぜて作るのがパパン・リンプ。
形状によって名称が異なり、同じ生地でも薄く平たく伸ばしたものは、「パパン・レイパ」と呼ばれています。
ライ麦独特の酸味がありますが、小麦粉も混ざっているため、比較的食べやすい味です。
生地には油脂を含みませんので、魚料理やスープなどさっぱりとした料理に良く合います。
スイスのパン
タイガーブロート

表面にヒビ割れがたくさん入っているのが特徴のパン。
ヒビ割れがトラの模様に見えることからこのように呼ばれています。
形成したパン生地の表面に米粉などで出来た生地を塗って焼成すると、特徴的なヒビ割れができます。
このヒビ割れ部分が、フランスパンで言うところのクープの役割を果しており、カリカリの食感を生み出してくれます。
日本のパン屋さんでも、チーズ入りのものなどよく見かけるようになりました。