イタリアではパスタやピザなど、小麦粉を使用した食事が好まれています。
それらと同じように、パンも日常的に食されている食べ物です。
イタリアの形は南北に長いため、気候や文化に地域差があります。
パンもそれぞれの気候に応じて、さまざまな種類が誕生しています。
イタリアのパンは塩の使用量が少ないことが特徴です。
これは、イタリア料理の塩分が高く、全体のバランスをとるための工夫であると考えられます。
イタリアではパンでパスタのソースなどをぬぐって食べたり、オリーブオイルをつけて食べたりと独特な食べ方もあります。
日本で愛されるイタリアパンもありますので、具体的に紹介していきましょう。
フォカッチャ

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フォカッチャはイタリア語で「窯で焼いたもの」という意味を表します。
古代ローマ時代から作られていたのが、このフォカッチャだといわれています。
生地と焼き上げの前にたっぷりとオリーブオイルを使用するため、香り豊かな仕上がりになります。
パンの表面は指先でつけたくぼみがあるのが見た目の特徴です。
ローズマリーやトマトをトッピングしたものも主流で、イタリアでは大きな四角形に焼いたものをみんなで切って分け合うのが習慣となっています。
チャバッタ

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イタリア北部が発祥の地とされるチャバッタは、イタリア語で「スリッパ」という意味を持ちます。
水分の多い生地を優しく成形し、じっくり発酵させることで、大きな気泡のたくさん入ったみずみずしいモチモチ食感を表現することができます。
これは、あるパン屋が水の分量を間違えて焼いたのが始まりだとされています。
イタリアでは、フランスのバゲットのように日常的に食されているパンで、塩とオリーブオイルをつけて食べます。
対して日本では、サンドウィッチにすることが多く、ハムやチーズと一緒に楽しまれています。
グリッシーニ

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17世紀ごろ、イタリア北西部のトリノで誕生したといわれる細長いクラッカーのような形と食感が特徴的なパン。
ナポレオンはグリッシーニを「小さいトリノの棒」と呼び、遠方でも取り寄せて楽しんでいたといいます。
イタリアのレストランでは必ずメニューに載っているというほどポピュラーで、前菜や生ハムと一緒に楽しまれています。
一度焼いたものをさらに乾燥させることで、独特のカリカリとした食感が生まれ、長期間の保存もできます。
パンドーロ

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イタリアで古くから愛されてきたクリスマスの伝統菓子。黄色い断面と星の形が特徴的です。
この黄色いカステラのような断面は、バターと卵をたっぷり使用することで生まれます。
このリッチなパンは、かつては「貴族だけが食べられる黄色いパン」とされており、一般庶民は黒いパンを食べていました。
焼き上げた翌日に食べるのが1番食べごろです。
最近では工場生産となり、天然酵母を使用しない場合も多いですが、昔ながらの製法で天然酵母を使用した場合は1か月以上も日持ちするといわれています。