Lesson5-3 ドイツのパン

ドイツでは非常に多くのパンが食されており、その年間消費量はヨーロッパの中でも上位に相当します。
世界的にみてもドイツのパンの種類は非常に多く、1500種類ほどあるといわれています。

ドイツパンといえば、黒みがかったどっしりとしたパンを思い浮かべる人が多いでしょう。
ドイツ北部の寒い地域では、小麦よりもライ麦の栽培が盛んで、こってりとした食事が多い為、酸味の強いどっしりとしたライ麦パンが好まれてきました。
反対に南部では、小麦の栽培が盛んなため、小麦粉を使用したパンが多く作られています。

ドイツパンは配合する粉の割合によって、以下の種類に分けられます。

  • ヴァイツェンブロート(小麦粉90~100%)
  • ヴァイツェンミッシュブロート(ライ麦粉使用)
  • ミッシュブロート(小麦粉:ライ麦粉=1:1)
  • ロッゲンミッシュブロート(小麦粉<ライ麦粉)
  • ロッゲンブロート(ライ麦粉90~100%)

さらに、粗挽き粉を使用すると「シュロートブロート」、全粒粉を使用すると「フォルコンブロート」、小型パンは「ブロートヒェン」呼ばれます。

ロッゲンブロート

ドイツの寒い地域発祥で、ほとんどライ麦粉でできた、どっしりとしたドイツパンです。
通常は、ライ麦粉100%で作ることが多いですが、お店によっては少量の小麦粉を混ぜて作ることもあります。

中身のクラムは密度が高く、硬めの食感になっており、粘りが強くてもっちりしているのが特徴です。
味は酸味が強く、日本人にとってはクセのある味だと感じるかと思われますが、薄くスライスして食事と一緒に食べると食べやすくなります。
こってりした肉料理やチーズ、ワインなどとの相性が良いです。

ミッシュブロート

ミッシュは「ミックス」、ブロートは「パン」という意味を示す通り、ライ麦粉と小麦粉をミックスして作られたパンです。

形は円形状のものが多く、小麦粉が半分配合されているため、クセが比較的少なく、ドイツパン初心者でも食べやすいのが特徴です。
弾力も程よくあり、もっちりしっとりとした食感を味わうことができます。
バターやジャムを付けてシンプルに食べる方法がオススメです。

ヴァイスブロート

 

小麦粉100%で作られる白パンの代表にあたります。
元をたどると、小麦の栽培が盛んだった南ドイツで好まれていたパンでしたが、今ではドイツ全域で食べられています。

外側はパリッと、中は柔らかく、日本人が好むタイプのパンとも言えます。トーストして食べても、食事と一緒に食べてもおいしく楽しめます。

ブレッツェル

ブレッツェルはラテン語で「腕」という意味になります。
独特のハート型の形は、腕を組んで祈りをささげる姿に由来しているともいわれています。

表面のこんがりとしたツルツルの焼き色は、焼く前につけるアルカリ性のラウゲン液によるものです。本場ドイツでは、お酒と一緒に食べるスタイルが好まれれています。

シュトーレン

シュトーレンの名前の由来は「キリストを包んだ毛布の形」とも言われており、クリスマスの時期に愛されるドイツの伝統的な焼き菓子です。
ラム酒と蜂蜜につけられたドライフルーツがたっぷりと入っており、リッチで濃厚な味わいをしています。

本場ドイツでは、クリスマスまでの準備期間に、薄くスライスしたものを少しずつ食べていくという習慣があります。

バターと粉砂糖で表面をコーティングすることにより、常温でも3~4週間は保存できるのが特徴です。