Lesson5-1 特徴別パンの種類とフランスのパン

パンには大きく分けてリーン・リッチの2つの種類が存在します。
この2つの違いは使用する材料にあります。
使用する材料によってパンの風味や味わいは大きく異なります。

また、世界中にはその土地ごとに個性的なパンが存在します。
歴史や文化とともに各国で愛されてきたパンを多数紹介しますので、見た目も一緒にしっかりと知識を身に着けるようにしましょう。

リーンなパン

リーンなパンとは、シンプルな材料で出来たパンを指します。
基本の材料、粉・水・イースト・塩を使用し、油分が少ないという特徴があります。

リーンなパンはフランス発祥のものが多く、バゲットバタールがその代表例です。
これは、小麦本来の風味を好み、余計なものを入れないことがベストだと考えるフランス人の好みが反映されていると考えられます。イギリスやドイツなどの周辺諸国でも同様の特徴がみられます。

日本では菓子パンなどが人気で、食パン以外の日本発祥のパンはほとんどがリッチなパンです。
この点からも、ヨーロッパの人々と日本人の好みに大きく違いがあることがわかります。

リッチなパン

リッチなパンとは、粉・水・イースト・塩のほかに、バターや牛乳・砂糖や卵などの副材料を入れて作ったパンです。

クロワッサンシュトーレンなどがその一例で、何もつけなくてもそのままおいしく食べられるのが特徴です。

日本発祥のパンにリッチなものが多いのは、そのまま手軽にどこでもいつでも食べられるように開発されているという理由があります。
反対にリーンなパンが好まれるヨーロッパでは、朝食べるパンは朝に買いに行ったり、「できたて」に対するこだわりが強いとも考えられています。

しかし、ヨーロッパの人々もお祝いやお祭りの時にはリッチなパンを好んで食べます。
毎日パンを食べるヨーロッパの人々にとって、普段は飽きのこないリーンなパン、特別な日にはリッチなパンというように食べ分けることが、重要な意味を持っていると考えられています。

フランスのパン

フランスの食卓にはパンがつきものです。
ほとんどの人は1日に3食、パンを食べるといわれています。
日本のように、焼き直してパンを食べる習慣はなく、その都度焼き立てを買ってきて食べます。

フランス発祥のパンは大きく3つの種類に分けられます。

  1. パン・トラディショネル
  2. ヴィエノワズリー
  3. パン・ド・カンパーニュ

パン・トラディショネル

いわゆる「フランスパン」と呼ばれる、バケットやバタールなどのバリバリとした食感のパンです。
材料は小麦粉・パン酵母・水・塩だけをシンプルに配合して作ります。
フランスの小麦はたんぱく質が少ないものが多く、バリバリとしたクラストともちもちとしたクラムの食感を楽しむことができます。

ヴィエノワズリー

クロワッサンやブリオッシュなどのリッチなパンが代表例です。
バターをふんだんに使用するため、焼き立ての風味は格別です。
ただしバケットなどに比べ、価格が高いこともあり、フランス人は朝食で食べることは少ないようです。

パン・ド・カンパーニュ

別名「田舎パン」とも呼ばれ、地域や地方により形状や製法が異なるのが特徴です。
一般的には野生の酵母を使用するため、独特の香りが特徴で酸味があり、しっとりとしているのが特徴です。