Lesson4-1 パンの製法①

Lesson3冒頭でも少しお話ししましたが、パン作りには様々な製法が存在します。
作りたいパンの特徴に合わせて製法を選ぶことで、おいしいパンが仕上がります。

それぞれの長所・短所と一緒に学んでいきましょう。

直ごね法(ストレート法)

パン生地の小麦粉を一工程で混ぜ、焼成までを行う製法です。
基本的な製法なので、粉の風味や香りがそのまま生かされます。

バターロールやフランスパンまで、パン作り全般に取り入れられています。

長所

  • 小麦の特徴を生かすことができる
  • シンプルな工程は初心者にもぴったり
  • 所要時間を短くできる
  • 発酵の場所が少なくてもできる

短所

  • パンの硬化が早い
  • 材料や各工程の作業が仕上がりに大きく影響する

中種法(スポンジ法)

パン生地を作る前段階で発酵種を準備し、二工程に分けて生地を作る製法。
生地の硬さを調整しやすく、発酵も安定する。

ふんわりしっとりとした仕上がりになるので、食パンなどのボリュームのあるパンに最適。

長所

  • 柔らかくてボリュームのあるパンができる
  • パンの水分保持力が高まり、硬化しづらい
  • 材料や工程が仕上がりにそれほど影響しない

短所

    • 全体の所要時間が長くかかる
    • 発酵臭は強まるが、小麦の香りは薄れてしまう
    • 二工程に分けるため、広いスペースが必要

加糖中種法

中種に、使用する糖分の5~10%を加えて発酵種を作ります。
ストレート法のように、一度に糖分を加えてしまうとイーストの活性が弱まり、発酵に時間がかかります。
そのため、中種と生地に分けて糖分を加えます。

菓子パンのような甘いパンに向いており、このように分けることで耐糖性が強くなり、発酵が安定します。

長所

  • 発酵が安定する
  • 柔らかくてボリュームのあるパンができる

短所

  • 時間と手間がかかる
  • 二工程に分けるため、広いスペースが必要

水種法(ポーリッシュ法)

その名の通り、ポーランドで生まれた製法。
まず、全使用量の粉の一部(全体の20~40%)を水やイーストと混ぜておき、ドロドロの液状の発酵種を作ります。

種がしっかりと発酵したら、残りの粉を加えて本捏ねに入ります。

後の製法は中種法と同じように進める。

長所

  • 発酵時間が短くても、香りと味の良いパンができる
  • ボリュームのあるパンを作ることができる

短所

  • 少し酸味が発生する
  • 種が液状のため、置き場所の確保が必要
  • ボリュームが出て、味が薄くなることがある