Lesson3冒頭でも少しお話ししましたが、パン作りには様々な製法が存在します。
作りたいパンの特徴に合わせて製法を選ぶことで、おいしいパンが仕上がります。
それぞれの長所・短所と一緒に学んでいきましょう。
直ごね法(ストレート法)
パン生地の小麦粉を一工程で混ぜ、焼成までを行う製法です。
基本的な製法なので、粉の風味や香りがそのまま生かされます。
バターロールやフランスパンまで、パン作り全般に取り入れられています。

長所
- 小麦の特徴を生かすことができる
- シンプルな工程は初心者にもぴったり
- 所要時間を短くできる
- 発酵の場所が少なくてもできる
短所
- パンの硬化が早い
- 材料や各工程の作業が仕上がりに大きく影響する
中種法(スポンジ法)
パン生地を作る前段階で発酵種を準備し、二工程に分けて生地を作る製法。
生地の硬さを調整しやすく、発酵も安定する。
ふんわりしっとりとした仕上がりになるので、食パンなどのボリュームのあるパンに最適。
長所
- 柔らかくてボリュームのあるパンができる
- パンの水分保持力が高まり、硬化しづらい
- 材料や工程が仕上がりにそれほど影響しない
短所
-
- 全体の所要時間が長くかかる
- 発酵臭は強まるが、小麦の香りは薄れてしまう
- 二工程に分けるため、広いスペースが必要

加糖中種法
中種に、使用する糖分の5~10%を加えて発酵種を作ります。
ストレート法のように、一度に糖分を加えてしまうとイーストの活性が弱まり、発酵に時間がかかります。
そのため、中種と生地に分けて糖分を加えます。
菓子パンのような甘いパンに向いており、このように分けることで耐糖性が強くなり、発酵が安定します。
長所
- 発酵が安定する
- 柔らかくてボリュームのあるパンができる
短所
- 時間と手間がかかる
- 二工程に分けるため、広いスペースが必要
水種法(ポーリッシュ法)
その名の通り、ポーランドで生まれた製法。
まず、全使用量の粉の一部(全体の20~40%)を水やイーストと混ぜておき、ドロドロの液状の発酵種を作ります。
種がしっかりと発酵したら、残りの粉を加えて本捏ねに入ります。
後の製法は中種法と同じように進める。
長所
- 発酵時間が短くても、香りと味の良いパンができる
- ボリュームのあるパンを作ることができる
短所
- 少し酸味が発生する
- 種が液状のため、置き場所の確保が必要
- ボリュームが出て、味が薄くなることがある